西岡三兄弟の異常な執着～After Story～

次の日の午後、水樹は西岡邸の門の前にいた。
水樹はある覚悟をもって、ここにいる。

敷地内に入る。
そして東屋に向かった。
前日に花苗に予定を聞いていたからだ。

東屋で花苗は、ゆっくり本を読んでいった。

｢花苗様｣
｢ん？
え！？水樹さん？あれ？今日はお休みですよね？｣
｢えぇ。あの、若様にサプライズしませんか？｣
｢え？朱雀にですか？｣

｢今から二人で、ご主人様方の会社に行って驚かせましょうよ！｣
｢え？で、でも…勝手にここから出るのは……｣
｢サプライズなんですから、最初は怒らせるかもですがきっと喜びますよ！｣
｢でも、朱雀がまた壊れたら……
きっと、水樹さんも無傷ではいられません。
もしかしたら、殺されるかも？
サプライズするなら、屋敷の中でしましょ？｣

花苗はもう二度と、あんな恐ろしい思いをしたくない一心だった。
｢でも私、色々準備をしてるんです。だから、一緒に行きましょ？｣

水樹の必死さに、花苗は心が動いていた。
それに水樹のことはとても信頼している花苗。
黄河達も信用しているので、殺される事はないだろうとタカをくくり水樹の提案を受け入れたのだった。

門をくぐろうとすると、当然寺門に止められた。
｢花苗様、ダメですよ！ご主人様方にキツく言われてます。屋敷内にお戻りください｣
｢朱雀に会いに行くんです。
通してください｣
｢若様に呼ばれたんです。私が同行するならいいと……｣

水樹は他の使用人にも、信頼を得ている。
寺門もそう言われてしまうと、受け入れざるおえない。
｢わかりました。行ってらっしゃいませ｣
花苗に頭を下げた寺門だった。

｢水樹さん｣
｢え？｣
｢覚悟、あるんですよね？｣

寺門の真っ直ぐな瞳。

｢…………はい。行ってきます｣
水樹も真っ直ぐ見つめ返した。

どうしてこの人は、察しがいいのだろう。
この人は、私がしようとしていることを察している。

水樹はそんなことを考えながら、花苗の手を引きある場所へ向かった。