西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
「水樹さん?」
「はい」
「こっちは、西岡電力の方ではないですよ?」

「わかってます」

「え………?
…………水樹さん!!?手を離してください!」
水樹は花苗の手をしっかり握り先に進む。

「花苗様、おこがましいですが…私は貴女の事を娘みたいに思ってます。その娘が苦しめられている。
助けたいと思ってます」
「え?水樹…さん?」

「貴女は、紫苑様との方が幸せになれる!
私はずっとそう思ってました」
「水樹さん……」
「花苗様と紫苑様を見てると、相思相愛ってこの事言うんだなぁって思えるんです。
貴女はわからないでしょうが、紫苑様を見る目と若様を見る目が全く違うんですよ!
紫苑様を見る目は、本当に幸せそうで愛おしそうに見てますよ。
それは紫苑様もそうです。
笑われるでしょうが、二人は織姫と彦星みたいです。
ご主人様達魔王に会わせてもらえなくて、たまにしか会えない二人」

「じゃあ、今……」
「紫苑様の所に向かってます」
「紫苑くんはこの事を……」
「話してます。
花苗様を連れて逃げてほしいと……大丈夫です。紫苑様も理解してくれました」
「…………」

「━━━!!!花苗様?」
花苗は無言で、立ち止まった。

「私、屋敷に帰ります。今ならまだ間に合う」
「花苗様、どうして?」
「水樹さんのお気持ち、とっても嬉しいです。
きっと昨日お話したことで、心配してくれたんですよね?でも朱雀の傍にいると決めたのは、私自身です。
自分でも呆れるくらい、私は朱雀を愛してます。
確かに紫苑くんの事も大好きです。
でもそれ以上に、朱雀の傍にいたいんです」

「どう…して…?」
「ごめんなさい。
今日は私が勝手に“一人で”外に出たことにします。
水樹さんは元々お休みの日なので、知らなかった事にしてください」
花苗はゆっくり手を離し、踵を返した。

そしてもう一度振り返り………
「水樹さん」
「………」
「私も水樹さんの事、お母様みたいに思ってますよ!
大好きです!また明日、屋敷で待ってますね!」

と言って、屋敷に帰っていった。
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