西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
「花苗~ただいまぁ!」
「フフ…おかえりなさい、朱雀」
いつものように朱雀がいち早く入ってきて、花苗を腕の中に閉じ込めるように抱き締めた。
そして、キス責めをする。

「黄河さん、真白くんもおかえりなさい!」
「ただいま!苗!」
「ただいま、花苗。
夕食前に、大事な話がある。
二階リビングに行くぞ」

「え?うん…」
朱雀に手を引かれ、二階に上がった花苗だった。

二階リビングに四人。
「黄河さん?大事な話って?」

「今日、水樹が会社に来た」
「え………」

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「会長様、水樹さんが来てます」
「は?水樹?」
「なんで?」
「なんで使用人が、会社に来んの?」
杉尾の言葉に、不思議そうに顔を向ける三兄弟。

「花苗様の事で、話がしたいと…」

「「「花苗(苗)?」」」

水樹が会長室に来る。
「何?花苗の事って!」

「ご主人様、若様、坊ちゃま。
花苗様を解放していただけませんか」
水樹は真っ直ぐ三人を見て言った。

「は?何を言ってる!お前に俺達の何がわかる」
「水樹ー君のことは信用してるから、今その言葉を撤回したら聞かなかった事にしてあげる。早く帰って!」
「ほら、朱兄ちゃんを壊すなよ!
早く帰れ!」

「“あの時”のようにですか?」

「「「━━━━━━!!!」」」

あの時とは、花苗が逃げ出した時の事。
あの日、それを知った朱雀は片っ端から花苗の知り合いを殺し回ったのだ。

西鷹の力を使えば、すぐに見つかるはずなのに壊れてそんなことを考える余裕もなくなっていた。

最終的に花苗自身が、身体をはって朱雀を止めたのだ。

その時花苗は、朱雀の子を妊娠していた。

子どもは流産し、子宮まで切除しなくてはならない程に花苗の身体は傷ついたのだ。

「そうだ。
あの時、俺達は花苗から永遠に“大切な人”を奪った。花苗から子どもを奪って、親になることも奪った。それでも俺達の傍にいると言ったのは“花苗”だ。
花苗が、朱雀の傍にいたいと言ってくれた。
何も知らないお前に、そこまで言われる筋合いない!」

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