西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
「え……使用人…?」
秀実は心底、驚愕していた。
無理もないだろう。
黄河と結婚して会長夫人になったと思っていたのに、使用人だと言う。

「なので、黄河様はご主人様、朱雀様は若様、真白様は坊ちゃまとお呼びください。けっして名前をお呼びにならないようにお願いします」
森宮が秀実に説明する。

「あ、花苗の事もだよ?
間違っても、花苗“さん”なんて呼ばないでね!」
そこに朱雀が付け加えた。

「え?私はいいよ!秀実さんの方が年上だし、お姉さんになるわけだし…!」
「ダーメ!!そんなの、僕がやだもん!」

「そんなこと……
じゃあ、何の為に私達は結婚したんですか?」
「“sima”を買収する為。
お前の親父の会社は、これからももっと上に行ける。
だからわざわざ、見合いをしたんだ。
あの頑固じじぃが、秀実を嫁にするなら傘下に入っていいっつたからな!」
「そんな…でも、使用人なんて聞いたら父は怒りますよ?」

「だったら、言ってみたらどうだ?」
「フフ…どうぞ?召使!」
「ほら、行けよ!下衆!」
黄河、朱雀、真白の順にまるで挑発するように言ったのだった。

「ちょっ…三人共!?
なんて事……!?
どうかお義父様には、言わないでください!
私がなんとかフォローしますから!」

「花苗!!」
「へ!?」
「言ったよね?僕を、嫉妬させないでって!
花苗、また食べちゃうよ?
今、ここで!」
「え……そ、それは、嫌…」
「フフ…さっきから、思ってたんだよね~!
花苗の二の腕、美味しそう!」
朱雀と花苗は指を絡めて握っている。
朱雀は繋いでる手をそのまま上に上げた。そして朱雀の顔が二の腕に近づく。

「やだ…朱雀…やめ…て……」
花苗はギュッと目を瞑り、俯いた。

「朱雀!!ここではやめろ!?」
そこに黄河の声が、朱雀の動きを止めた。

「はぁーい!花苗、後からね?」
そう言って、二の腕に軽くキスをした朱雀だった。
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