西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
西岡
「朱雀…黄河さ…真白く…もう、いい子にするから……誰も傷つけないで?」

次の日の朝、仕事に行く三兄弟にすがるように言った花苗。

「あぁ」
「うん、わかってるよ」
「苗、大丈夫だよ」
三人も、静かに言って屋敷を後にした。

花苗は三人が行ってからも、しばらく扉を見つめていた。

「花苗様、最近冷えてきてるから廊下は寒いですよ?
リビングへどうぞ」
塩見が声をかけた。

「はい」
ゆっくりリビングに向かう花苗。
そしてソファに座り、ボーッと前を見つめていた。

「花苗様、紅茶を淹れましょうね」
「あ、ありがとうございます」
「………」
「ん?塩見さん?」
「ごめんなさい。なんて声かけたらいいかわかりません。水樹さんのこと……」
「私のせいです」
「え?どうしてそんな……」
「まさか、西岡電力に行ってたなんて……
あのまま屋敷に一緒に帰れば良かった。
とにかく私が屋敷にいなきゃと思って、帰ることに必死で……」

「……花苗様のせいではありません」

「塩見さん…」
「水樹さん、言ってました。
花苗様はほんとに可愛らしい方よねって!
私達の為に、若様に嫉妬されるのわかっててフォローしてくれて……
そうやって、必死に力になろうとしてる天使みたいな人だって」
「水樹さん…」

「だから、花苗様の為なら、命をかけてもいいって」

「え……?」
「だから、いざとなったら命をかけて花苗様の幸せを守りたいって」
塩見の言葉が花苗の心に響く。

また目が潤んでいた。

「花苗様、貴女は幸せにならないとダメです!
水樹さんの為に……」

「はい……!!」
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