西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
「秀実、会長様の言うことを聞け!!」
「え……パパ…どうゆう…こと…?」
秀実は信じられない思いで、父親を見ていた。

「どうして?」
それは花苗も同じだった。
娘が使用人にされるなんて聞かされたら、激怒するのが普通でないのか。
それどころか、黄河の言う通りにしろとまで言っている。

「島の弱味を俺が握っているからだ。
まぁ…あとは━━━━━━」
「……………ふーん、だからって黄兄ちゃんがわざわざ結婚することなかったんじゃないの?」
「そうだね。他に方法があったんじゃない?どうして?兄さん」

「島の最後の頼みってのもあるが、一番は何でも言うことを聞く召使が欲しかったから。しかも、無償で。
杉尾を真白が嫌ってるのもあるし、また新たに召使を雇うと金がかかるからな!
とにかく、色んな偶然の思いが重なったんだ」

花苗はとてもじゃないが、聞いていられなかった。
なので必死に耳を塞ぎ、黄河の話を聞かないようにしていた。

「朱雀、お手洗い行ってくるね」
「じゃあ、ついていく」
「え?い、いいよ…!すぐそこだし」
「ダメ!!まだどっかの下衆に襲われたら大変だから!」

「じゃあ、ここで待ってるからね!」
朱雀が微笑み、頭をポンポンと撫でた。

花苗も少し微笑み入った。
個室に入り、蓋の上に腰かけた。
「助けて…こんな……」
花苗は耳を塞ぎ、うずくまるようにして目をギュッと瞑った。

自分には、溶けそうな程の笑顔や優しさ、安心を与えてくれる三兄弟。
でもそれ以外は、冷酷で残忍だ。
最低だと思うのに、自分はあの三人から放れられない。とにかく、罪悪感でいっぱいだった。
「早く戻らなきゃ…」

花苗は重い足取りで、朱雀の待つトイレの前に向かった。

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