日溜まりの憂鬱
 午前6時に起床し、朝食と弁当作りから菜穂の一日が始まる。

 けして豪勢とは言えないし、夕飯の残り物を活用することも多いが、それでも彩りや栄養バランスを考え、工夫して作るのは苦にならない。
 いつも昼過ぎになると『お弁当美味しかったよ。ごちそうさま』と修也からラインが届く。

 修也に出会ってから7年。
 菜穂の生活は大きく様変わりした。まさかこんなにも穏やかで幸せな日々を自分が送ることになるとは夢にも見なかった。

 全ては修也のおかげだ。彼に出会ったことで仕事を辞め、面倒な人間関係から解放された。修也を愛している気持ちと同じくらい、いや、それ以上に感謝の念が強い。

 彼のためなら何だって出来る。修也がいれば何もいらない。それは嘘偽りのない本心だった。

―――良かった! もう少ししたら夕飯の買い物に行って来るね。

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