日溜まりの憂鬱
あれもこれも、それもこれも、と上司から仕事を任されることは名誉であったし、期待に応えたいという思いは常に持っていた。
同い年の野田さんと菜穂、二人は入社当初から期待値は高く、上司ウケも悪くはなかった。しかし日を追うごとに二人の評価に差が生じ始めた。
手っ取り早く言えば野田さんは期待以上であり、菜穂は期待通りということだ。
けして菜穂の評価が低かったわけではない。
野田さんがあらゆる面で才能を発揮し、菜穂にはないコミュニケーション能力を彼女は持ち合わせていた。それが野田さんの最大の魅力だったのだろう。
五年前、26歳の夏の終わり。結婚を機に退職した菜穂だったが、31歳になった今でも野田さんからは定期的に連絡がある。
最後の電話から五ヵ月が経過していたが、そんなに長く感じなかったのは菜穂の生活が単調であるからかもしれない。
『毎日仕事、仕事で残業ばかり。あ、総務の山下さんっていたでしょ? 先月赤ちゃんが生まれたの。男の子だって』
「そうなんだ。おめでたいね。よろしく伝えておいて」
『そんなの自分で言えばいいじゃない』
同い年の野田さんと菜穂、二人は入社当初から期待値は高く、上司ウケも悪くはなかった。しかし日を追うごとに二人の評価に差が生じ始めた。
手っ取り早く言えば野田さんは期待以上であり、菜穂は期待通りということだ。
けして菜穂の評価が低かったわけではない。
野田さんがあらゆる面で才能を発揮し、菜穂にはないコミュニケーション能力を彼女は持ち合わせていた。それが野田さんの最大の魅力だったのだろう。
五年前、26歳の夏の終わり。結婚を機に退職した菜穂だったが、31歳になった今でも野田さんからは定期的に連絡がある。
最後の電話から五ヵ月が経過していたが、そんなに長く感じなかったのは菜穂の生活が単調であるからかもしれない。
『毎日仕事、仕事で残業ばかり。あ、総務の山下さんっていたでしょ? 先月赤ちゃんが生まれたの。男の子だって』
「そうなんだ。おめでたいね。よろしく伝えておいて」
『そんなの自分で言えばいいじゃない』