日溜まりの憂鬱
5章
「パート?」
箸の動きを止めた修也が顔を上げた。
「ライフマーケットの新店舗が来年の2月にオープンするんだって」
「どこに?」
「東区。修也の会社の近くだよ」
「ああ、元パチンコ屋の跡地か」
修也が勤務するビル管理会社の事務所から目と鼻の先の距離だ。
「へえ。ライフマーケットが出来るのか。てっきりまたパチンコ屋だと思ってたよ」と意外そうな顔をした修也は小松菜のお浸しを口に運ぶ。
「そこで働くの?」
「迷ってる」
ハンバーグを手ごねしているときも、こうやって口にしている今も、菜穂の頭の中は迷いがぐるぐると渦巻いていた。
「断り切れなかったんだろ?」
その通りだった。
その場できっぱりと断っておけば迷うことはなかっただろう。
だが平日の9時から14時。週に三日、時給は1200円、交通費全額支給というのは魅力的に思えた。
しかも、新人教育担当というポジションだ。『かかわる人は全員新人さんだから菜穂ちゃんもやりやすいんじゃない?』
野田さんの声が頭の中で再現された。
箸の動きを止めた修也が顔を上げた。
「ライフマーケットの新店舗が来年の2月にオープンするんだって」
「どこに?」
「東区。修也の会社の近くだよ」
「ああ、元パチンコ屋の跡地か」
修也が勤務するビル管理会社の事務所から目と鼻の先の距離だ。
「へえ。ライフマーケットが出来るのか。てっきりまたパチンコ屋だと思ってたよ」と意外そうな顔をした修也は小松菜のお浸しを口に運ぶ。
「そこで働くの?」
「迷ってる」
ハンバーグを手ごねしているときも、こうやって口にしている今も、菜穂の頭の中は迷いがぐるぐると渦巻いていた。
「断り切れなかったんだろ?」
その通りだった。
その場できっぱりと断っておけば迷うことはなかっただろう。
だが平日の9時から14時。週に三日、時給は1200円、交通費全額支給というのは魅力的に思えた。
しかも、新人教育担当というポジションだ。『かかわる人は全員新人さんだから菜穂ちゃんもやりやすいんじゃない?』
野田さんの声が頭の中で再現された。