日溜まりの憂鬱
 今月の中旬、予定通り、ライフマーケットの新店舗がオープンした。
 もし採用されていれば、あの真新しい店舗で慌ただしく働いていたのだろうか。何も考えたくないのに、油断すると勝手にモヤモヤとどす黒い負の感情が沸き立ってくる。

 不採用というのは、菜穂の自尊心を大きく抉った。
 ハローワークなどで見つけてきた仕事ではなく、かつての同僚から熱く誘われ受けた面接で不採用。笑ってしまうほどにお粗末な結果だ。

―――私の何がいけなかったんだろう。

 せめて理由くらい教えてくれたっていいじゃない。と、文句は芽生えてくるが、実際に理由を知れば、それはそれで傷つくのだろう。
 おそらく人事部長の目から見て、何かが足りず、何かが劣っていたからこうなったんだ。頭ではわかる。

 けれど飲み下せない思いが異物となり、あれから月日が経ったのに未だに燻っている。
 
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