日溜まりの憂鬱
 修也には嘘をついてしまった。

 不採用になったとはどうしても言い出せなかった。プライドだけは一丁前にあるのだから、本当に面倒くさい。

「実は聞いていた話と全然違っていたの。週三って話だったのに週五とか言うし、それに残業もあるとか言われちゃって……」

「そうだったんだ。まあ、週五で残業もあるならライフマーケットじゃなくてもいいよね。他にも求人募集してるところあるだろうから、ぼちぼち探してみたら?」

「……うん。そうだね」

 とは言ったものの、未だに探していない。探すふりだけはしているが、そもそも働かなくてはいけないのだろうか。
 あの日、野田さんから誘われていなければ、何の気兼ねもなく専業主婦でいられたはずなのに。
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