レムナント

「キース様はきっとアリス様が来てくれて喜んでいますよ。」

お茶の用意をしながらソフィアが言った。

「…どうして?」

「キース様は本来は国王陛下の側近。ですが、シド殿下の側近が1名不在のため、キース様は陛下と殿下の側近両方を受け持っていたのです。」

「どうしてシド殿下の側近は1名足りないの?」

アリスの問いにソフィアはお茶を注ぐ手を止めた。

ポットを机に置くとアリスの耳元にぐいっと近寄った。


「ここだけの話なんですが…シド様の側近はこれまでに5名も辞退しているんですよ。」


「…え?」

ソフィアはアリスの隣に座って腕を組んだ。


「どなたも長く続かないんですよ、シド様の側近が。気難しい方で、もう1人の側近アラン様はどうやって仕事をこなしているのか皆んな不思議に思っています。」

ペラペラと話すソフィアの横でアリスの表情から笑顔が消えた。

5名も辞めるなんて異常だわ…

そんな気難しい人の下で私はこれから働くことになるなんて………

「あれ?アリス様、顔色が悪いですよ。どうしました?」

ソフィアの言葉にアリスはハァッと溜息をついた。



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