レムナント
「…それで、ルナさんとシド様はどうなったんですか。。」
「ルナは王宮中から批判を受け気を病んでしまった。その上産後の肥立も悪く、ルーン様を産んだ後亡くなられたよ。」
まさかシド殿下にそんな過去があったとは…
アリスは暫く黙り込んだ。
「ルナが出て行った後2人は手紙でのみ連絡を取り合っていた。しかしある日突然手紙が途絶えて、シド殿下がルナの実家に訪れた時は既に亡くなった後だったよ。」
「そんな…」
アランは立ち上がり、窓を開けて外を見た。
「ルーン様をどうするか、ルナの両親が引き取る事も案に出たが、シド殿下が頑なに育てると言い、ルーン様は王位継承者として王宮で暮らすことになったんだ。」
「…」
アリスは話を聞いて暫く黙った。
シドを見た時冷たい目をした人だと思った。
その瞳の中には辛い過去が残っているんだ。
「…早く仕事を覚えて少しでもシド殿下の力になれるように頑張ります。」
アリスの言葉にアランはにかっと笑った。
「おう、頑張ろうな。」