レムナント
コンコン
「どうぞ。」
キースが執務室に入って来た。
「あれ?アリスは。」
「ルーン様を部屋まで送ってる。」
「またここへ来たのか。」
キースは椅子に腰掛けると大きくのけぞり身体を伸ばした。
「お疲れのようですね。」
アランは仕事を中断してコーヒーを淹れた。
「やっと本職に集中できるよ。それより、アリスはどうだ?」
アランはコーヒーカップをキースに渡した。
「…驚いたよ。ルナと顔が瓜二つだ。親族かなにかか?」
「いいや、赤の他人だ。俺も先月の社交界デビューの時アリスを見た時驚いた。」
「そういえば、ルナの話をアリスにした。顔が似ているという事は言っていないがな。」
キースはコーヒーを飲むとアリスが昼前までしていた書類を手に取った。
アリスが書いた文字がとても綺麗でキースはふっと笑みを漏らした。
「…美しい筆跡だ。アリスはかなり頭もいい。学校で成績はトップだった。きっとここで活躍してくれるよ。」
キースはマグカップを置くと、部屋を出て行った。