レムナント
本の続きを読もうとページをめくるとなにやら1階が騒がしくなった。
バタバタと大きな足音を立てて再び誰かが部屋に近づいてくるようだ。
コンコン
「アリス様!アリス様、王宮からアリス様にお客様です。」
召使いが何やら大慌てで部屋に入って来た。
「王宮から?」
誰だろう。先月社交界デビューしたばかりの私にはまだ王宮には知り合いなどいない。
ドレスの裾を持ち上げて椅子から立ち上がると急いで1階の客間へと向かった。
「ふぅ、」
客間の扉の前に立つとアリスは深呼吸してからドアをノックした。
中を見ると、知らない男性がソファーに座っており、その横に座る母と話をしていた。
男性はドアが開くとゆっくりと視線をアリスに向けた。
黒のスーツを着たその男性は、金髪で髪と同じ色の瞳をしており、すらっとしているが身体が鍛えられている事がスーツの上からもわかる。
「…お待たせいたしました。」
アリスは小さな声でそう言うと男性の前で挨拶をした。
「…初めまして。王宮より参りましたキースと申します。」
アリスはキースが差し出した手をそっと握り返した。
「キース様は国王陛下の側近でいらっしゃるんですって。」
国王の側近?!そんなに偉い人が私に何の用で…