レムナント

「座ってください。」

キースに言われてアリスはソファに腰掛けた。

「…実は、アリス殿にお願いがあって参りました。この国の王子の側近になって頂けないでしょうか。」


王子、の側近…?


突然の言葉にアリスはポカンとした。


「…どうでしょうか、、」

キースは真っ直ぐにアリスを見て言った。

先に口を開いたのは母だった。


「あの、突然の事で…えっと、どうしてそんな大役をアリスに?」


「勝手ながら、アリス様の学校での成績を調べさせて頂きました。王子の側近として何も不足はありません。そしてこの間の社交界での振る舞い。是非、貴方のような方に側近となって頂きたいのです。」


王子って、シド王子の事よね?

アリスは頭の中がぐるぐると回った。


「…あの、王子の側近ならばもう立派な方がお側におられるのでは…」

「ええ、近衛隊のアランがおります。アランと共にアリス様にも是非。」


どうしよう…

突然そんな事を言われても困る。。

どう返事をすればいいか分からないでいると、母が立ち上がった。


「キース様、このお話ですが…」

よかった、お母様が断ってくれるのね。

アリスは真剣な眼差しの母を見上げてホッとした。


「お引き受けさせて頂きます。」

「……えっ?」


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