レムナント

ちょちょちょちょっと待ってよ!

ニコニコと愛想よくキースに返事をする母を横にアリスは開いた口が塞がらなかった。


「…お、お母様、簡単に決めてしまっては…」


「大丈夫よ。あなたならやれるわ。こんな光栄な事ないわ。」

何故か自信たっぷりの母を見てアリスは呆然とした。

こ、この母ときたら……


アリスは手をギリギリと握りしめた。


「良かった。さっそく手配をいたします。一週間後、城より馬車をよこします。それまでにご準備をして下さい。」


キースはにっこりと微笑むと立ち上がり母と握手をした。

アリスは2人の間に入る隙がなかった。


「では、ごきげんよ〜」

呑気に笑顔でキースに手を振り馬車を見送る母の横でアリスは顔を青くしていた。


「…ちょっと、何勝手に決めてるよ!!!」


アリスは大きな声で母に怒鳴った。

「どうして?王子様のお側で仕事が出来るのよ?こんないいお話無いわよ。」

「でも、お父様の許可は?!勝手に決めてお父様が反対したらどうするのよ!」


「大丈夫。私からちゃんと話しておくし、お父様は出張で戻るのは2ヶ月後よ?もうアリスが王宮が行っちゃった後なら反対の仕様がないわよぉ。」


こ、この親、自分の子供が心配じゃないのか…


「さぁ、そうと決まったら王宮へ行く支度をしなくちゃね!」


能天気な母親にアリスは深くため息をついた。


王宮で、王子の側近…

私にやれる?!





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