レムナント
仮面舞踏会
翌朝、シド達はジェーンの屋敷を出た。
「まさか泊まり込みになるとは思わなかったな。アリス、戻ったら仕事溜まってるぞ」
アランの言葉にもアリスはまだ昨日シドに怒られたことに落ち込んで、ぼーっとしていた。
「…全く、度胸があるのかないのか。」
アランはおちこむ落ち込むアリスを見てふっと笑った。
「…っ、そうだ、アラン。帰りはアランの馬に乗せて…殿下と2人きりで馬車に乗るのは…」
「だーめ。この馬は1人乗り用だ。ま、殿下ももう怒ってはいないさ。」
アランの言葉にアリスはがっくり肩を落とした。
アリスは渋々、馬車に乗り込んだ。
既に乗っていたシドを見てアリスは気まずそうに視線を逸らした。
馬車が走り出すとアリスは手をギュッと握りしめて早く王宮に着くことを祈った。
暫く走ると、アリスは気まずさに耐えきれずにチラッとシドを見上げた。
シドは足を組んで、窓から外を眺めていた。
どうしよう…気まずい。。。
「あの、殿下…本当に申し訳ありませんでした。。」
消えそうな声で言うとシドはゆっくりとアリスに視線を向けた。
「もう勝手な行動はするな」
「はい、ごめんなさい。。」
シドはふと、擦りむいたアリスの腕を見た。
「…戻ったらその腕、手当てしてもらえ。」
「え?」
アリスは腕の傷を見た。
昨日、馬車を避けて転んだ時に擦りむいたものだ。
「これくらい、大丈夫です。」
そう言うとシドはキッとアリスを睨みつけた。
「……手当てしてもらいます。。」
その後は2人は何も話さないまま、馬車は無事に王宮に到着した。