レムナント
「殿下、少しお休みください…」
どうやらシドは昨夜帰ってきてから一睡もしていないようだ。
「…」
アリスが声をかけてもシドは何も言わずに手を止める事なく仕事を続けている。
「何か、お手伝いする事は…」
「ない。」
うっ、…
ダメだこれは。。アリスはそっと部屋を後にした。
でも、あのままじゃ身体を悪くしちゃう。
「お茶でもいれよう。」
アリスはソフィアの元に向かった。
「ソフィア、殿下にお茶をお持ちしたいのだけど。」
「はい、すぐに用意します。」
こうなったら無理やりにでも少しは休んでもらわなくちゃ。
お茶とお菓子を持ってアリスは再びシドの部屋へと向かった。
扉の前で深呼吸をした。
あの怖い目で見られるのは心臓に悪い。
「ねーねー」
「ひゃ?!」
突然下からドレスの裾を引っ張られた。
「ルーン様。」
「なにしてるの?アリス。」
アリスはしゃがんでルーンの顔を見た。
「ルーン様のお父様にお茶をお持ちしたんです。」
「僕もいく。」
そうだ、ルーン様も一緒なら少しは休んでくれるかも。
「ルーン様も一緒に行きましょう。」