レムナント
「…殿下、お茶をお持ちしました。」
恐る恐るシドの部屋に入った。
シドはアリスの隣にいるルーンを見るとため息をついてようやく羽ペンを机に置いた。
アリスは持ってきたお茶を近くのテーブルに置いたが、シドはお茶には手を付けずに、ルーンを抱き上げた。
「ルーン。また勉強をサボっているのか?」
抱き上げられたルーンは首を横に振った。
シドはそんなルーンを見てふっと笑みを漏らした。
やっぱり、ルーン様といる時のシド様は優しい顔をする。
「…ねぇ、今夜はご本読んでくれる?」
「ルーン、今夜はダメだ。舞踏会があるんだよ。」
「えー、またぁ?」
舞踏会…?アリスはシドの言葉に首を傾げた。
「おい、」
「は、はい?」
「今夜は客人が来るので舞踏会が開かれる。お前は俺の側から離れないようにしろ。」
え??
シドはアリスをじろっと睨んだ。
「分かったな。」
「あ、はい…」