レムナント
「遅い。」
部屋に着くならシドは早くも機嫌が悪かった。
シドも黒い仮面に長いローブを着ていた。
「行くぞ。」
「はいっ」
外に出ると、アランとキースが待っていた。
2人とも派手な仮面を付けている。
「キース様とアラン、マスクを付けていたら分からないわね。」
「それが面白いんだよ、仮面舞踏会は。誰が誰だか分からない。迷子になるなよ、アリス。」
アランはいつもより楽しそうにしているようだった。
仮面舞踏会の会場に着くと、既にたくさんの招待客が集まっていた。
「キース、アラン。まずはロイド様に会わなくては。」
「アドナ家当主のジェラルド様と一緒にいるはずです。探しましょう」
アリスは煌びやかな会場を見て目を輝かせた。
招待客はみんな様々な衣装に仮面を付けている。
この間の社交界デビューとは比べ物にならない程派手でみんな陽気におしゃべりしたり、ダンスを楽しんでいる。
アリスもなんだかワクワクしてきた。
「おい、側から離れるな。」
周りに目を取られていると、シドがアリスの腕を掴んだ。