レムナント
「…君、殿下を知らないか。」
アランは朝からシドを探していた。
執務室にもおらず、廊下を歩くメイドに声を掛けた。
「今朝はいつも通りお部屋の前に朝食は置きましたが、お姿はまだ見ていません。」
「おかしいな…まだ私室か?」
アランはシドの部屋に向かった。
部屋の前にはまだ手の付けられていない朝食がそのまま置いてあった。
コンコン
「殿下、いらっしゃいますか。殿下?」
中から返事はない。
まさか、何かあったんじゃ…
「殿下!……?!」
アランは部屋の中に入って驚いた。
「え…?ア、アリス……?」
「んん〜?」
アリスは勢いよく開いたドアの音に目を覚ましてゆっくり起き上がると、アランと目があった。
肌着にガウンを羽織っただけのアリスと、ベッドで寝ている殿下………
アランの顔色が変わると同時に、アリスはやっと状況が飲み込めて、額から冷や汗が垂れた。
「いっ、いやーーー!!!!!」
本日3回目。アリスの悲鳴が響き渡った。