レムナント
「もうこんな時間…」
アリスは外を眺めながら、肩を回した。
「アランもそろそろ戻ってくるかな。」
途中からアランはキースや大臣達と話し合いで席を外していた。
***
「…では、今日の議題はここまでと言う事で。」
「お待ちくだされ!」
王家の婚姻を取り決めているバズが立ち上がった。
「アラン殿とキース殿、シド殿下の婚姻についてお話ししたい。」
バズの言葉に、アランとキースは小さく溜息をついた。
「…シド殿下には前々より縁談についてお話ししているが全く聞く耳を持っては下さらぬ!お二人からも殿下を説得してくだされ!」
バズは顔を赤くして興奮気味で訴えた。
「…確かに殿下には正妃が必要とは思いますが、何もそんなに急がなくても。」
「急がなくても?!遅すぎるくらいです!アドナ家ご息女ローズ様が最も相応しいと私は思っております。」
「…シド殿下は結婚はしていなくても既に王位継承者のルーン様がおります。まだまだ国王が現役であらせられますので、今この話を持ち出しても殿下は首を縦にはふりません。」
アランの説明に大臣達が少し騒ついた。
「アラン殿、たしかに王位継承者はおりますがそれがお一人とは安心はできません。やはり殿下には早急に正妃を迎えてもらわなければ。」
他の大臣の言葉にキースとアランは表情を歪めた。
「…分かりました。殿下には出来るだけそうして頂けるよう説得してみます。」
キースの言葉にバズは席に座った。