レムナント

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「アリス、まだ残っていたのか。」

会議から戻ったアランはまだ執務室に残ってたアリスを見て言った。

「…アラン、シャロン様を知っていますか?」

「ああ、王妃の側近だ。3年前に王妃様が亡くなり、殿下も正妻がいないから、今は王弟の正妻の側近や侍女を取りまとめているよ。シャロン夫人がどうした?」

「いや…ルーン様のお世話をする事になったと言っていたので、、」

かなり物言いがキツイ方だったので、アリスはルーンが少し心配になった。


「最近、ルーン様の教育係にも任命されたんだ。あの人はかなり厳しい方だ。殿下が後宮へ訪れない事も文句を言われているよ。」

アランふぅと溜息をつきながら言った。


アリスはルーンに会いづらくなりそうだと思った。

「アランは会議は終わったの?」

「ああ、一様な。最後にバズから殿下の結婚問題を持ちかけられたよ。」

アランは書類をバサっと机に置くと深く溜息をついた。


「結婚問題?」

「殿下もそろそろ正妻を迎えろと前々から大臣達に言われているんだ。この前仮面舞踏会で会ったローズ様が第一候補とされている。」


あの時会った、綺麗な人が…

「だが、殿下にこの話を持ちかけても聞く耳を持たれない。毎回有耶無耶にして来たが今回はそうはいかなさそうだ…」

アリスはアランが机に置いた書類を手に取った。

そこには名家や貴族の女性の名前が書き綴られている。

これ全部、シド様の結婚相手の候補なんだ…


「明日はこれを持って殿下の所に話に行かなくては…気が重いな…」

疲れた顔のアランを見て王家の婚姻問題は大変そうだとアリスは思った。



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