レムナント
王宮の庭園は様々な花が咲き、中央には大きな噴水がある。
今日はよく晴れていて、ルーンは庭に出ると目をキラキラ輝かせた。
「パパ!あっちに行こう」
シドの手を引っ張り、庭の花壇に向かって走って行った。
「殿下が散歩したいと言い出したのか?」
「いえ…私が勧めました。」
楽しそうに笑うルーンを見てアリスも笑みが溢れた。
「それより、アランはどうしてついて来たんですか?」
「昨日話した婚姻話しをこの後殿下にするんだよ。」
アランは手に持つたくさんの書類をポンポンと叩いた。
シドもルーンと話している時だけはいつもの怖い顔じゃなく父親の優しい表情をしている。
アリスは楽しそうな2人を見て提案して良かったと思った。
コツコツ
すると、背後からヒールの音が聞こえ振り返るとシャロン夫人と浮かない表情のマリアがやって来た。
「もし、ここで何をされてるんですか」
「あ…殿下とルーン様がお庭を散策されると言う事で…」
アリスの言葉にシャロン夫人は眼鏡をかけ直して、噴水の周りで楽しそうに走るルーンを見た。
「お庭に出るのなら私に一言言ってもらわないと。ルーン様のお世話は私に任されているのです。」
「はぁ…すみません。。」
ピシャリと言うシャロンにアリスの声が小さくなった。
シャロン夫人はアリスをギロリと睨むと、ドレスの裾を持ち上げルーン達の方へ歩いて行った。
その後を、マリアが慌ててついて行った。
「全く…シャロン夫人は厳しすぎるな。」
アランは呆れた様に言った。