レムナント
数ページ見てシドはポンっと机に書類を置いた。
「またいつもの様に断っておいてくれ。」
そう言うシドにアランは溜息をついた。
「断ることはいくらでも出来ます。しかし、これ以上有耶無耶にしておくと殿下のお立場も危うくなります。」
アランの言葉にシドは何も言わず黙ったままだった。
「…お気持ちは分かります。ですが、形だけでも正妻を迎えられてはどうでしょうか。」
「考えておく。」
シドの言葉にアランはそれ以上は何も言わずに部屋を後にした。
暫く部屋に沈黙が走った。
「…では、私もこれで。」
アリスは部屋を出ようとすると、ルーンがえーと声を上げた。
「アリスも一緒に遊ぼうよ。」
「ごめんなさい。私も執務がありまして…」
ルーンがつまらなそうな顔をすると、シドは席を立った。
「今日は仕事はいい。隣の部屋でルーンの相手をしてくれ。アランには俺から言っておく。」
「え?」
アランの言葉にルーンは喜び、アリスの手を引いて隣の部屋に連れて行った。
いいのかな…
今日もたくさん仕事は残っているが、殿下に言われてはしょうがない。
アリスはルーンと隣の部屋で今日は遊ぶ事にした。