レムナント
夏の嵐

アリスが城へ来て早3ヶ月が過ぎた。

仕事はアランが熱心に教えてくれるお陰で少し慣れて来た。

相変わらずシドの人使いは荒いが、最近は急な依頼にも少しずつこなせるようになって来た。

季節はもうすぐ夏になる。


***

ゴロゴロゴロ…

急に空に分厚い雲がかかり、遠くでは雷が鳴り始めた。

コーヒーを飲みながら、アランは窓辺に立って空を見上げた。


「これは、嵐になるな…」

そう呟いたアランにアリスも仕事の手を止めて外を見た。

「もしかして、例年の嵐ですか?」

「まだ時期は早いがもしかしたらそうかもしれないな。」

コンコン

すると、兵士が1人入って来た。


「ご連絡します。夏の嵐が近づいているようです。これより城の大門は閉められます。国王陛下より公務は中止し嵐に備えるようにとの事です。」

兵士の言葉にアランはコーヒーカップを机に置いた。

「アリス、雨戸を閉めておくんだ。俺は殿下のところへ行ってくる。」

アランが出て行くとアリスは執務室にある雨戸全てを閉じた。

「また、この季節が来たのね…」


この国では毎年の春から夏に季節が変わる頃大きな嵐がやってくる。

とくにここ王都は毎年被害が大きい。

街は王宮からから夏の嵐が来ると連絡が入ると一斉に店を閉じて備えを始める。


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