レムナント

「私はまだ仕事がある。隣の部屋でルーンと大人しくしていろ。」

バタンと扉が閉じるとアリスは大きく溜息をついた。

シドの私室の隣の部屋でアリスはルーンと二人きりになった。

「アリス、夜は一緒に寝よう?」

「いえ…夜は自分の部屋に帰りますよ。」

「でも雷は?アリスまた怖くなっちゃうよ。」

5歳のルーンに心配されアリスはなんだか情けなくなった。


本当にここで一晩明かす訳にはいかない。。

でもルーン様の言う通り、一人で夜を越せるか不安になってきた。

…そうだ、執務室に行こう。

アランはきっと仕事しているはず。

一晩中仕事をしていれば怖くない。


**

1時間程、ルーンと部屋で遊んでいるといつの間にかルーンは寝てしまった。
仕事を終えたシドが部屋に入ってきた。

「殿下、お疲れ様です。私は執務室に戻ります。まだ仕事がありますので…」


「…執務室は誰もいない。さっきアランも自室に戻った。」

え…

シドはソファで寝ているルーンを抱き上げるとベットにそっと寝かせた。

「…自分の部屋に戻るなら好きにしろ」

シドの言葉にアリスは立ち上がり自分の部屋へ戻る事にした。

ゴロゴロ!

またタイミング良く雷が近くで鳴った。

「ひゃっ?!」
< 75 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop