レムナント
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「わぁ、賑わっているわね」
アリスはルーンと手を繋いで中庭に出た。
2人は目をキラキラさせて当たりを見渡した。
その後ろで不服そうな顔で腕を組む、アランとそれにキースがいた。
「…全く。俺たちが2人の護衛か。」
キースはため息をつきながら言った。
「兵士を護衛に付けたら目立つから俺たちにと殿下の命令だ。」
アランは楽しそうにはしゃぐルーンを眺めた。
「アリスはどうだ?」
「ああ、よくやってるよ。殿下の無茶振りにもへこたれず頑張っている。」
ルーンとも仲良くやっているみたいでキースは安心した。
「殿下がアリスの事を名前で呼んでいた。」
アランの言葉にキースは驚いた。
殿下が側近を名前で呼ぶのはアランとキースだけだった。
ルナの一件から完全に心を閉ざしてしまったシド。
毎日ただ仕事をこなして行くだけのシドに側で使えるアランとキースは誰よりも心配していた。