レムナント
ルーンを部屋まで送るとアリス達は執務室に戻った。
「ルーン様、楽しそうで良かった。」
コーヒーを淹れながらキースが呟いた。
「アリス、今夜は舞踏会だからそろそろ準備をしておけよ。各国から王族や貴族が招待されているんだ。今夜は殿下の側から離れるなよ」
アランの言葉にこの間の仮面舞踏会の事を思い出しアリスは顔を赤くした。
「この資料、殿下に印を貰っておいてくれ。」
キースから書類を渡されてアリスはシドの部屋へ向かった。
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コンコン
シドの部屋に入ると相変わらず机に向かって公務をしている。
アリスはキースに頼まれた書類をシドの机に置いた。
シドは書類を受け取ると中身を確認した。
「あ、あの…ルーン様とても楽しまれたようです。」
「そうか。」
王宮はお祭りで賑わっているのにシドはいつもと変わらない。
「今夜の舞踏会は殿下のお側から離れないようにしますね!」
「…今夜は国王陛下と共に来客の対応をする。同じ場所から動けないからその必要はない。」
え、そうなの…?
シドは手早く書類に印を押すとアリスに差し出した。
「…招待客は各国の王族や貴族ばかりだ。この間みたいに酔っ払うなよ。」
「だ、大丈夫です!もうお酒は一口も飲みませんからっ」
書類を受け取るとシドの部屋を後にした。
アリスが出て行ったあとシドはクスッと笑った。