レムナント
曲が終わり、カインはアリスに深々と頭を下げた。
「カインたら。ありがとう、楽しかったわ」
「俺も。また、休みが取れたらうちにも顔出せよ。」
そう言って、カインはニッと笑うとその場を後にした。
「…アリス、あの人は元恋人か何かか?」
カインと別れた後、後ろからキースが聞いてきた。
「まさか、兄弟みたいに育った幼馴染ですよ。」
「でも、かなりハンサムだったぞ。好きだったんじゃないか?」
キースに言われて、たしかに顔は整っているとアリスは思った。
でも今キースに言われるまで、カインの容姿のことなんて特に気にしたこともなかった。
「異性として意識したことありませんよ、カインは。」
キースはどこか納得していないような顔でグラスの酒を飲み干した。
「あ、キース。お酒なんて飲んでいいんですか?」
「いいのいいの。それに、そろそろ国王陛下と殿下は退室される。」