レムナント
「失礼しました、アリス殿。」
「いいえ…あの、さっきの男の子は…?」
キースとアリスは向かい合って椅子に腰掛けた。
「…シド殿下のお子様、ルーン様です。」
王子の子?!
アリスは驚いた顔をした。
王子って結婚していたっけ…?
「殿下にお子様がいる事は、あまり知られていないですからね。」
「そ、そうだったんですね…ごめんなさい。私はまだまだ王室の事は無知で…」
やっぱり、こんな私がシド様の側近なんて努めるのかしら…
アリスはしゅんと小さくなった。
「…さて、今回この役を引き受けて下さってありがとうございます。これから詳しくご説明します。」
キースの言葉にアリスはゴクリと喉を鳴らした。
「…まず、明日初めてシド殿下と対面して頂きます。そして、執務についてはもう1人の側近、アランから説明があります。シド殿下はこの国の次期国王です。アリス殿とアランに殿下を支えて欲しいのです。」
アリスは膝に置いた手をきゅっと握りしめた。
「…本当に私でいいのでしょうか。。なんの知識もない、私なんかで…」
キースはアリスの顔をじっと見つめた。
「ええ、貴方しかいません。宜しくお願いします。」
真っ直ぐにアリスの目を見て言うキースに、アリスは不安だらけだが、この役を引き受ける事を改めて承諾した。