レムナント
その後、国王陛下とシドは数名の客人と話を終えると、退室の時間になった。
「…アリス、殿下達は退室されるがアリスはどうする?」
アリスはうーんと考えた。
「私ももう戻ります。アランとキースは?」
「俺たちはもう少し残るよ。ゆっくり休むんだ、アリス。」
2人が再び人々の中に紛れていった後、アリスも自室に戻った。
ヒールを脱ぎ捨てて、ベッドにバタンと倒れ込んだ。
「疲れたぁ。。」
ぼーっと天井を見上げていると、アランからシドに渡すように言われていた今夜の招待客リストの事を思い出した。
アリスは仕方なく重い身体を起こすと、リストを持ってシドの部屋に向かった、。
コンコン
「殿下、今夜の招待客リストをお持ちしました。」
シドはアリスからリストを貰うとペラペラとめくり中を確認した。
それにしても、久しぶりにヒールでダンスなんて踊ったから足がジンジンと痛む。
「…足が痛いのか」
足首をクルクルと回しているアリスを見てシドが言った。
「あ…すみません。久しぶりに踊ったら足が痛くて。。」
シドはリストを机に置くと、テーブルの水差しに手を伸ばした。
コップ一杯水を飲み干すと、アリスを見た。
「…ステップ、間違えていたぞ。」
「え?」
シドの言葉にアリスは首を傾げた。
「さっきホールで踊っていただろ。ターンした後のステップが違っていた。」
「見ていたんですか…?え、間違えてなかったと思いますけど…」
シドはコップを置くとアリスの前まで来て手を取った。
「…この後のステップはこうだろ。お前のステップだと相手の足を踏んでしまう。」
アリスはシド相手にもう一度踊ってみると、ターンの後でシドの足を踏みそうになった。
「あ…」
アリスは足を止めた。それを見てシドはふっと笑った。
「わ、笑わないで下さい。ちょっと間違えただけです…!」