レムナント

「アリス?どうしたんだ。」

シドが出て行った後、立ち尽くしたままのアリスにアランが声をかけた。

「…あ、いえ。。」

シド様、ものすごく普通なんですけど…

いや、私も普通にしてようとは思っていたけど…

まるで昨夜の出来事は無かったかのような。

…ダメダメ!とにかく今は仕事をしよう。

アリスは書類を持って書庫に向かった。


シドに言われた物を書庫で探し、アランから頼まれた仕事を片付けてアリスは一息ついた。


「…アリス、殿下から言われた資料はどうだ?」


「あ、はい。書庫で見つかりました。」

アランはアリスから資料を受け取ると中身を確認した。

「うん、これで大丈夫だ。殿下に届けてくれ」


え…

アランの言葉にアリスは手が止まった。


正直今日は顔を合わせたくない…

普通でいられる自信はもうなかった。

しかし、シドを避けていては仕事にならない。

アリスはアランから書類を受け取るとシドの執務室へと向かった。


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