レムナント

コンコン


アリスはドアの前でスーハーと深呼吸してノックをした。

中に入るといつも通りシドは机に向かって公務をしていた。

震える手で資料をシドに差し出した。

「…で、殿下。資料お待ちしました」

しまった…!
普通にしてようと思っていたのに思いっきり声が裏返ってしまった。


「…くっ、ハハハッ」

そんなアリスにシドは思わず吹き出して笑った。


「わ、笑わないで下さい!!」

アリスは顔を真っ赤にして声を上げた。

「…悪い。あまりにも挙動不審だったから。」

そりゃ挙動不審にもなる、とアリスは心の中で思った。
目の前にいるシドの考えてることがこれっぽっちも分からず翻弄されている自分が馬鹿のように思えてきた。

「アリス。今夜、仕事が終わったら王宮の図書室に来てくれ。」


「え…」


シドの申し出にアリスは何も追求はせず、頭をペコっと下げて部屋を後にした。


今夜…王宮の図書室。。



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