レムナント
一日中、何も考えないようにただ仕事に没頭した。
執務室に篭り、ろくに食事も取らずひたすら机に向かった。
流石のアランもアリスがいつもと様子が違うことに気がついてはいたが、敢えて何も聞かなかった。
ただ午後になるとこの空気に居た堪れなくなったのか、今日は何も予定は入っていないはずなのに、アランは執務室を出て行った。
1人になるとアリスは羽ペンを置いて、大きく伸びをした。
今夜、図書室…
アリスはシドの顔が頭に浮かぶと、トクンと心臓が跳ねた。
「…アリス!」
「ひゃっ?!」
突然後ろから声をかけられアリスはビクッと肩を震わせた。
振り返ると、ルーンがいた。
「…ルーン様。。びっくりしましたよ。」
「僕、ちゃんとドアをノックしたよ。返事がないから入って来ちゃったんだ。」
「そうなの、、ごめんなさい。考え事してて気が付かなかったわ。」
アリスの顔を見上げてルーンは首を傾げた。
「何を考えてたの?」
「…えっ?あっ、いや。。何でもありません。。」
顔を赤くして慌てるアリスをルーンは不思議そうな顔をしてみた。