婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~
でもたしかに、宗一郎と杉咲がセックスをしたと、はっきり断言しただろうか。
奈子は努めて考えないようにしていたし、そこまで注意して覚えてはいなかった。
「だけど、宗一郎さんがどんなふうにするか、やり方を説明されたんです。答え合わせがしたいですか?」
宗一郎がギョッとして眉を上げた。
「やめてくれ、悪寒がしたぞ」
奈子にすがりつくみたいに引き寄せる。
腕の中に強く抱きしめ、それから地を這うような声でささやいた。
「きみはそれを聞かされたんだな」
奈子は宗一郎の胸に顔をうずめた。
「妊娠できなくても心配しないでって言われたんです。私じゃなくても、誰かほかの女の人が、宗一郎さんの子どもを産んでくれるって」
宗一郎が奈子の腕を優しくさする。
「俺はもうこの先ずっと、奈子以外はいらないよ。そんなバカなことをするくらいなら、切り落とされたほうがましだ」
切り落とされては困るので、奈子は眉を寄せて宗一郎を見上げた。
「ほんとに?」
「うそじゃないよ」
宗一郎が奈子の額に唇を押しあてる。
奈子は宗一郎の背中にギュッとしがみついた。
大きな手がそっと髪をなでてくれる。