婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~

奈子の頬がパッと赤くなった。
宗一郎が指で輪郭をなぞり、いたずらっぽく笑う。

「それから、奈子はふたりでいるとすごくかわいい顔をする。俺の秘密なんだ、誰にもバラさないでくれ」

奈子は悔しくなってうつむいた。

どんなに取りつくろっても、宗一郎は気づいている。
宗一郎に甘やかされることを知った奈子は、ふたりきりになると、小さな女の子みたいに無防備になって、なにもかも明け渡したくなってしまう。

奈子は両手で宗一郎の胸を押し返そうとしたけれど、すぐに捕まえられ、手首の内側にキスをされた。
肘にも肩にも首すじにも、耳のふちにも唇を押しあてられる。

奈子が目をつぶった隙に、宗一郎の手がジャケットの下にすべり込んだ。
タイトスカートのウエストからブラウスを引っ張り出す。

直接肌に触れられ、奈子はハッとして身をよじった。

「宗一郎さん、もう行かないと」

佐竹はきっとすぐそこで待っている。
本当は、この五分ですら惜しいはずなのに。

「佐竹はガソリンがないって言ったんだろ。たぶんまだ足りないよ」

宗一郎が逃げようとする奈子の腰を引き寄せ、鎖骨に歯を立てる。

「七十二時間は必要だな」

「だめ!」

「きみが誘惑したのに?」

いつの間にかブラウスのボタンが外れていて、宗一郎が膨らみの上にキスをする。
< 93 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop