婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~
奈子の頬がパッと赤くなった。
宗一郎が指で輪郭をなぞり、いたずらっぽく笑う。
「それから、奈子はふたりでいるとすごくかわいい顔をする。俺の秘密なんだ、誰にもバラさないでくれ」
奈子は悔しくなってうつむいた。
どんなに取りつくろっても、宗一郎は気づいている。
宗一郎に甘やかされることを知った奈子は、ふたりきりになると、小さな女の子みたいに無防備になって、なにもかも明け渡したくなってしまう。
奈子は両手で宗一郎の胸を押し返そうとしたけれど、すぐに捕まえられ、手首の内側にキスをされた。
肘にも肩にも首すじにも、耳のふちにも唇を押しあてられる。
奈子が目をつぶった隙に、宗一郎の手がジャケットの下にすべり込んだ。
タイトスカートのウエストからブラウスを引っ張り出す。
直接肌に触れられ、奈子はハッとして身をよじった。
「宗一郎さん、もう行かないと」
佐竹はきっとすぐそこで待っている。
本当は、この五分ですら惜しいはずなのに。
「佐竹はガソリンがないって言ったんだろ。たぶんまだ足りないよ」
宗一郎が逃げようとする奈子の腰を引き寄せ、鎖骨に歯を立てる。
「七十二時間は必要だな」
「だめ!」
「きみが誘惑したのに?」
いつの間にかブラウスのボタンが外れていて、宗一郎が膨らみの上にキスをする。