堅物な和菓子王子は一途に愛を貫く
和泉家の会食は、結婚式の披露宴のようだった。
司会の人もちゃんといて、『京泉』の会長、社長と挨拶をしていく。
それでも会食がメインなので、隣に座ってくれた葵さんとたくさん話すことができた。
和泉家には別宅がいくつかあって、貴船はその一つだそうだ。葵さんがお気に入りなのは嵐山にある別宅で、そこは庭の一角が竹林になっているらしい。
庭に竹林!!想像もつかない…
「今度、百合ちゃんと三人で女子会しましょ。嵐山の別宅には、パーティールームがあって、三人で泊れる広い部屋があるから」
さすがセレブというお誘いを受けた。
彩芽を見た会長はいたく喜び、「トキちゃんの孫が和泉に来てくれるなんてなぁ」としみじみ感動していた。
由緒正しい和泉家に受け入れてもらえるのだろうかという心配もあったが、お父様である社長や、お母様も温かく迎えてくださって嬉しい。
タロちゃんとは心を通わせあったばかりなのに、もう結婚することが当然という雰囲気になっていることには若干引くが、のん気な家風の松野家とは違い、和泉家はグイグイ行くのが家風らしい。
結婚式の日取りについて、ああだこうだといい合う和泉の人たちの話を、彩芽は笑って聞いていた。