堅物な和菓子王子は一途に愛を貫く
昨日とは明らかに混み具合が違う電車から、大量の人が押し出される。
ひー。押しつぶされるかと思ったわ…
よろよろとよろけながら、クシャクシャになったスカートを手で伸ばす。
カバンを抱え直し、髪を撫でつけながら、人波にのって地上出口へと向かった。
今日はフレックスタイム制を導入している会社も、全員定時出社なのかもしれない。
社会人にとって新しい一年の始まり。四月一日。
人間観察はあまり得意ではないけれど、今日だけはわかる。
黒っぽいスーツを着て緊張した面持ちの人は、間違いなく新入社員。
そして、それを温かい目で見守るのは人生の先輩たち。
四月一日ならではの通勤風景だ。