堅物な和菓子王子は一途に愛を貫く
連れて行かれた部屋は、客室の最上階だった。
部屋に入って降ろされた瞬間、噛みつくようなキスをされる。
「んっ」
声を発しようにも、そんな隙が与えられない。
「ま、まって」
必死で声を絞り出すが、タロちゃんは一向に止める気がないようだった。
それはタロちゃんの気のすむまで繰り返され、息も絶え絶えになった彩芽はベッドルームへと運び込まれた。
「タロちゃんっ!」
ベッドに投げ出されて、思わず叫ぶ。
タロちゃんは、切なそうに彩芽を見た。
そして、彩芽の頬を両手で包み、おでこをコツンと当ててきた。
「彩芽、会いたかった。会いたくて会いたくて、死にそうやった」
愛おしさが溢れて止まらない、そんな口ぶりに彩芽の気持ちは爆発した。
「タロちゃんのバカっ!嘘つきっ!」
目の前のタロちゃんをゴンゴン叩く。
涙がとめどなく溢れ、彩芽は声をあげて泣いた。
タロちゃんは困ったように眉を下げ、黙って叩かれながら彩芽の涙を何度も拭ってくれた。
「私も、私も会いたかった…」
しゃくり上げながら、言ってしまう。
百合ちゃんのことを気にする余裕などなかった。もう、自分の気持ちを押さえることができない。
目の前のタロちゃんの頬を両手で包む。
「会いたくてたまらなかった…」
堪えられないというように、また噛みつくようなキスが始まる。
そこからはお互い気が狂ったように求め合い、シーツへと沈んでいった。