堅物な和菓子王子は一途に愛を貫く
*◇*◇**
頭を動かすと体中がジーンと痛む。彩芽はゆっくりと目を開けた。
「おはよう」
タロちゃんは先に起きていたようで、じっと彩芽を見ていた。
「うん…」
もう一度目をつぶり、タロちゃんの腕の中に潜り込む。そんな彩芽をタロちゃんはギュッと抱きしめてくれた。
「体、大丈夫か?」
「…大丈夫じゃない」
部屋に来てすぐに始まった激しい行為は、夜更けまで続いた。
彩芽は何度も「もう無理…」とうわ言のように呟いたが、タロちゃんは容赦なかった。
途中で気を失うように眠りについたが、今が一体何時なのか見当もつかない。
「今、何時?」
「八時やな」
よかった…。そこまで遅くはないようだ。
「無理させて悪かったな。シャワー浴びよう。連れて行ったる」
シーツで彩芽をくるむと、タロちゃんは彩芽を軽々と抱き上げ、浴室へと運んでくれた。
体のすみずみまで清められ、髪も洗ってもらう。タロちゃんが洗っている間、彩芽は湯船につかって軋む体を温めた。
体中が痛い。そう言えば、恋人になったタロちゃんはガンガンくる人だった。
それにしても凄すぎでしょ…
体が温まると、痛みもずいぶんマシな気がする。彩芽はふーっと長い息を吐いた。
湯船から上がると、フカフカのタオルで拭きあげてくれる。
着心地のいいバスローブを羽織ると、タロちゃんはドライヤーを持ち出し、髪まで丁寧に乾かしてくれた。
部屋に戻ると、いつの間に頼んだのか食事がセットされている。
「昨夜は食事もしてないからな。朝は胃の負担にならないものしておこう」
テーブルには、スープとホカホカのパン、フルーツ、ヨーグルトなどが並んでいた。
食事の間、タロちゃんは無口だ。
それは以前と変わらない。懐かしさに胸がキュッとなったが、彩芽も静かに食事をした。