今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 リリーはダグラス王太子の手を取り、ふたりは手繋ぎでウサギのふれあい広場を目指し駆け出していった。
 小さくなるふたりの背中を食い入るように見ながら、俺はゲートを出たところで岩のように固まった。
 ……なぜだ? なぜ、俺が取り残されてしまっているのだ!?
 リリーを一番近くで守るのは、父親である俺のはず。それなのに、どうして父親の俺を差し置いて、ダグラス王太子がリリーの手を取って行ってしまう?
「はははっ、フラれてやんの」
『ゥ゛オロミャーーゴ(やれやれ。ほんの赤ん坊の頃ならいざ知らず、ずっと一番近くにいるのが親なわけがなかろうに)』
 耳障りなふたつの声(ひとつは鳴き声)は、憔悴して佇む俺の耳を素通りした。
 その時、一向に付いてこない俺たちを訝しんでか、リリーがダグラス王太子を引き連れて戻って来る。
「どうしたのー? パパたちも早く行こうよ?」
「……リリー」
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