今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 リリーは小首を傾げながら、ダグラス王太子と繋ぐのと反対の手で俺の手をキュッと握る。細く小さな手は頼りなく、今にも折れてしまいそうに見えるのに、しっかりと温かで柔らかい。
 手のひらを通して伝わってくる温もりに、俺の中の父性が刺激される。他にも、庇護欲や独占欲や色んな思いが胸に交錯した。
 ……不思議なものだ。我が子とは、こうも無条件に愛しいと思えるのか。
「ほら、パーパ? あっちで、もこもこのウサギさんが待ってるよ。すっごく可愛いの。早く撫でよう?」
 もこもこのウサギより、もっと可愛い存在はここにいる。
「ああ、すまん。早く撫でに行こうな」
「うんっ!」
 愛娘のリリーを真ん中にして手を繋ぎ、ウサギを開放しているブースに進んだ。
「おい。娘を前に蕩けきった顔を晒しているアレは、本当に近隣諸国がこぞって冷酷無慈悲と恐れ慄く氷の騎士団長か……?」
『ゥ゛オロミャーーゴ(ハッ。あれはただの親馬鹿じゃろうよ)』
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