今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 その様子を見つめながら、俺は彼女の先ほどの言葉がなんとなく引っ掛かっていた。
「うわぁっ! ふわふわだわ!」
 ウサギの背に触れて、リリーが感嘆の声をあげる。
「そのまま、ゆっくり撫でてあげてね」
「うんっ! ウサギさん、いい子ね」
 リリーの小さな手で撫でられて、ウサギはとろんと気持ち良さそうに目を細めた。蕩けきったその表情も、リリーに撫でられている時のベルにそっくりだった。
 ……いくら人馴れしているとはいえ、ウサギがこうも安心しきった表情をするものか?
 リリーから少し離れた場所では、ダグラス王太子もスタッフに付き添われて薄茶色のウサギを撫でていた。しかし、彼に撫でられているウサギは嫌がってこそいないものの、決して気持ちよさそうではなかった。
 他の子供らが撫でているウサギたちにしても同様で、皆、訓練によって大人しくしているだけに見えた。心底気持ち良さそうにしているのは、リリーが撫でているウサギだけだった。

 ウサギとのふれあいを満喫し、ブースを後にする。
< 151 / 219 >

この作品をシェア

pagetop