今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
「真っ白なウサギさん、柔らかであったかくて可愛かったな」
 リリーがウサギの感触を懐かしむように両手を見下ろして零す。
「よかったな。だが、ここにはウサギ以外にも色んな動物がいる。別のも撫でに行こう」
「うん! 楽しみ!」
 リリーは満面の笑みで頷いた。
『ゥ゛オロミャーーゴ(やれやれ、子供らに囲まれて酷い目に合ったわ)』
「ベルは子供たちに大人気で、結局、真っ白なウサギさんも見れずじまいだったもんね。残念だなぁ、そのウサギさん、ベルにそっくりだったの。見せたかったなぁ」
『ゥ゛オロミャーーゴ(なに、わしは別にウサギなんぞに興味はないわ)』
「もう、ベルったらつれないんだから」
 交互にあがるリリーとベルの声を聞きながら俺はひそかに首を捻る。
 ……このふたり、明らかに会話が成立しているように感じるのは俺の気のせいか?
「リリー、次はあそこにしない!?」
「賛成!」
 ダグラス王太子の指さす先を見て、リリーがパァっと目を輝かせる。
「よし、決まりだな」
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