今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 なっ!? リリーの指差す先を見た俺は、ここでデジャヴを体験する。
 リリーが示したのは、多くいるリスの中で一番でかく、リスとしては珍しい真っ白な毛をした一匹。
「あら、白リス? ……あぁ、そっか。園長が昨日、補充をかけたのかしらね」
 さらにスタッフが怪訝そうに漏らした呟きも、ウサギのブースで聞いたそれと似たり寄ったりだった。
「驚かさないように、そおっと乗っけてあげてね」
「うんっ!」
 目当てのそいつがいるツリーハウスに歩み寄ると、リリーはリスとしては破格のサイズの真っ白い毛むくじゃらを掬い上げるように手に乗せて、にっこりと微笑んだ。
「可愛い! あったかくてふわふわ! ねぇお姉さん、背中を撫でても平気?」
「ええ、いいわよ」
「ふふっ、なんてもこもこ。いい子ね、真っ白なリスさん!」
 リリーが、もこもこの首後ろから背中に何度も指を往復させて、柔らかな毛並みを撫でてやる。
 リスは安心しきった様子でとろんと目を蕩けさせ、リリーに体を預けていた。
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