今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
「ずるい! そのおっきなリスさん、あたしも撫でたい!」
 突然、リリーの様子を脇で見ていた同年くらいの少女が声をあげた。
「え?」
 非難めいた声にリリーはビクンと肩を跳ねさせて、脇に立つ少女を見た。
「あたしもそれがいい! あたしに代わって!」
 リスは多くおり、後から来た子らは皆、一匹でいるものの中から触れ合う個体を選んでいた。彼女のように、不躾に先に他の子が触れ合っている個体を奪うような者はいない。
 幼い子供がすることとは言え明らかなマナー違反を前にし、やんわりと注意しようと口を開きかけるが、それよりも一瞬早くリリーが件の少女に向かってそっと両手を差し出した。手の上の白リスは何事かとキョロキョロしていた。
「うん、分かった。交代しよう。えっとね、最初はそっと手のひらに乗せて、それから撫でてあげるの」
「言われなくても分かってるもん!」
「あっ……!」
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