今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 あ、これってネコの尻尾! ……ボヤの日に見た黒いのと同じかは分からないけど、ここにネコが迷い込んでいるのは間違いない!
 私はネコを怯えさせないよう、声をかけながら幹の後ろを覗き込む。
「こんにちは、黒いネコちゃん。こんなところに迷い込んじゃったの?」
 その子は特段警戒する素振りもなく、ジーッと私を見上げていた。
 黒い体に黒い目。体長こそベルと同じくらいだが、短毛でスラリとした体躯はどっしりとした風体のベルとは対照的で、俊敏な印象だった。
「ここはリスさんたちが怯えちゃうから他の動物は入っちゃいけないんだって。来て? 私が一緒に出口まで連れて行ってあげる」
 本当は、パパたちと合流するべきだと分かっていたけれど、なんとなく他に人を呼んだらこの子がいなくなってしまうような気がした。
「おいで」
 ちょいちょいと手招くと、黒ちゃんが木の後ろからスルリと出てきた。
「いい子ね、黒ちゃ……、っ! いたっ!」
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