今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 黒ちゃんの頭を撫でようとしたら、伸ばした手をシャッと前足で引っ掻かれ、痛みが走る。反射的に手を引っ込めた私を、黒ちゃんは憎々しげに見上げ、牙を剥いて叫ぶ。
『小娘、我の邪魔をするでない!』
 え? 今のって……!
 脳内に直接響いてくるような声。ベルとお喋りするのと同じように、私には黒ちゃんの言葉がしっかりと通じていた。
「待って! 黒ちゃ――」
 ――キィイイイッ!! ――キッ、キィイイイッッ!!
 なに!? 黒ちゃんを追いかけようとする私の耳に、甲高いリスの鳴き声が響く。
「きゃーっ!」
「うっ、うえーっん! 痛いよぉ!」
「うわぁあっ!? 来るなっ! 来るな!!」
 直後、周囲の子供たちから次々に悲鳴や泣き声があがる。
 いったい、なにが起こったの!?
「うちの子がリスに噛まれたわ! ……きゃあ! 来ないで!!」
「こっちは引っ掻かれたぞ! オイ!? ここの動物園は、いったいどんな躾をしているんだ!?」
「スタッフはどこだ!? 早くリスを大人しくさせんか!」
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